
協会発足のご挨拶
代表理事 鈴木 修一
世界はますますグローバルな社会に変動、変貌しつつあります。今日の世界不況を変換する手立てを模索し、世界中の多くの人たちが知恵を出そうと動き出しています。そのグローバル化が進む社会の中で、今後大きく注目を浴びていくであろうと考えられているのが、ベトナム社会主義共和国ではないかと私は感じています。私は長年、語学教育と人材に関連したビジネスに関わってきた中で、ベトナムとも色々な面で関係してきました。ベトナムといえばハノイ、ホーチミン、ダナンという街の名前はよく知られていますが、ベトナムという国柄についてはあまり知られていません。観光地としてのベトナムは認知されていますが、ベトナム人の“人材の優秀さ”について、最近ようやく関心が高まり、注目を集めるようになりました。
徐々に注目されてきているベトナム。そのベトナムと日本との交流をより深めていくには、“文化の交流”が大切ではないかと考え、また“文化の交流”こそグローバル化を着実に勧めていく、地道な方法と捉えています。そして、その中でベトナムの伝統音楽の楽器の象徴の1つである「トルン」を知り、また日本で唯一のトルンの演奏者である小栗久美子さんとの出会いを通じて、日本トルン協会の発足という運びとなりました。音楽は世界の共通語と言われるように、ベトナム文化の普及を考えたら、トルンのファンづくりこそ、永続的な活動であると捉えています。
“文化の交流”と“人材の交流”こそ日本トルン協会の使命です。「小事が大事」の視点で、一滴の雫である日本トルン協会が今後ベトナムと日本の架け橋になることを目指していく上で、本協会の役割を担うべき活動の意義として私は以下の3点を考えております。
一つ目は、トルン文化の普及です。音楽を通じた心と心の交流です。
二つ目は、ベトナム文化の交流です。文化が人間を変えていきます。
三つ目は、“人材”の交流です。ベトナム、日本の両方の発展にとって、欠かせない優秀な人材を育成していく必要があります。
どんな小さな組織でも、そこに関わる人たちの熱とエネルギーで目標を達成できると信じています。幸いに、熱く、若々しいスタッフ、関係者のご協力を得られ、日越の両国にとってなくてはならない存在を目指して、日々努力することを誓ってご挨拶の言葉に換えさせていただきます。
奏者代表のご挨拶
トルン奏者代表(兼 副理事) 小栗 久美子
ベトナムの民族楽器であるトルンは元来、ベトナムの中部高原地帯(タイグエン)において、そこに住む少数民族の生活と密接に関わりあい、生まれた楽器のひとつでした。その後、生活の変化とともにそういった楽器の存在意義が希薄になり、タイグエンの音楽文化の衰退が危惧される一方で、トルンは音楽を楽しむための楽器として新たな役割を見出し、都市部の音楽家の尽力により全国的に注目される楽器として発展しました。
しかし近年の傾向としては、ベトナムも海外からの音楽の影響が強く、ロックやポップといった音楽の勢いに押され、若者の伝統音楽離れが進んでいます。そういった伝統音楽の危機に瀕しているこの状況に対し、外国人のトルン奏者という立場であるからこそ、何か出来ることがあるのはないかと考えるようになりました。
そのひとつは、「トルンが伝えてきた音楽の伝承に協力するとともに、現代の音楽文化との調和を考えた新しい音楽作りの探求をすること」です。新しい音楽作りの探求とは、外国人としての立場からトルンの更なる魅力をひきだせないかという試みでもあります。伝統を守る一方で、より広く、より多くの人達に興味を持って頂ける音楽作りを目指し、ベトナムの音楽文化に関心を抱いて頂くきっかけ作りができればと思っています。
また日本とベトナムにおける友好関係においても、今後更なる発展を望み、交流活動に貢献していけたらという思いもあります。音楽を通した文化交流は、言葉の壁や民族間の違いを超えて心の触れ合いを可能にする力を持っています。私がトルンを好んでやまない理由は、その音色や楽器としての魅力もさることながら、それを通じてベトナムを知り、また自身を知ってもらうことができた、言わば自分とベトナムをつなぐ架け橋のような存在となってくれたことにもあります。また、日本人である私がベトナムの楽器を演奏するということで、日本とベトナムの関係をより身近に感じて頂けるのではないかという思いもあります。いずれは、ベトナムの演奏家と共に舞台に立ち、一緒に演奏できるステージを作りたいという夢も抱いています。
そのようなことを考えながら続けてきた活動が身を結び、ご支援頂いている周囲の方々、また国際事業を行っている株式会社ブリッジアカデミーの代表 鈴木様よりご推薦頂き、企業の後ろ盾を頂くかたちで「日本トルン協会」を発足する運びとなりました。活動を組織化することで広く紹介できる基盤を作り、皆様からご支援頂きながら、より有意義な活動へと発展させていきたいと考えております。
私に出来ることはわずかではありますが、たった一滴のしずくでも、ゆっくりと大きな波紋となって広がっていくように、小さな一歩一歩がいつしか大きくて綺麗な輪となって広がっていくことを信じています。どうか皆様のご支援、ご協力を宜しくお願い致します。
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